橘上の短歌放浪記
困った。ネタが尽きた。いや、日々短歌は作られその中で秀作・傑作は生まれているのだから、その言い方は正しくない。正確には、ネタはたくさんある。しかしぼくはほとんど知らないということだろう。ダメじゃないか。けれども僕も三十過ぎ。ダメなものをダメなまま放置するほどダメじゃないんだな。ダメはダメとして受け止め前向きに「短歌 若手 いいやつ」でグーグル検索。すると「1971年生まれ以降の若手歌人を語る」というスレッドが一番最初に出てきた。ネタに困ったらネット検索? ダメじゃないか。見つかったのが2ちゃんねる? ダメじゃないか。いや、去年ポエトリー・スラム(ニュアンス変わるけどべつに朗読会でもいい)に出演しまして、そこで、2ちゃんねる出身で雑誌の新人賞を取った詩人の方にお会いしましてね、ああ、2ちゃんねるから発掘される人材もいるんだな、と思いましてね、ええ。今まで避けてきた2ちゃんねるだけど、もしかしたら、見落としがあったかもしれないと考える次第で。まぁ今回2ちゃんねるに当たったのはたまたまですけどね。
で、「1971年生まれ以降の若手歌人を語る」を覗くと、まず「大阪万博以後に生まれた戦後の臭いすら知らない この世代の歌人について気軽にお話しましょう。」とある。そうか。1971年生まれは大阪万博以後で、戦後の臭いすらしらないのか。勉強になるなぁ。そのまま読み進めると「斉藤斎藤、笹公人、黒瀬珂瀾、石川美南、小島なお、玲はる名、今橋愛」各氏の名前が挙がる。イベントでお会いしたり、どこかで名前を聞いたりで歌集を既に読んだことある人がほとんどだ。若手っていうか、全員先輩だしなー。だってこのスレッド2006年のヤツだもんなー。なんかミクシーの話題ばっかだし。っていうか「1971年以降」の段階で気付けよって話だよなー。その後は「馬鹿」「お前が馬鹿」「そもそも2ちゃんねるに来る歌人は馬鹿」などとお馴染みの展開になってきたので「2ちゃんねるに来る詩人も馬鹿」ということにしてひとまず撤退。「アポロは月面着陸してない」に通じるとっても「東スポ」っぽいフレーズは気になりましたが。
とりあえず、短歌しらない人が「短歌 若手 いいやつ」で検索すると、「斉藤斎藤、笹公人、黒瀬珂瀾、石川美南、小島なお、玲はる名、今橋愛」の1971年以降の人の名前があがり、彼らを若手と思う人が一定数いるかもってことです、歌人の皆さん。
しかし、あれだな、検索の仕方が悪かったのかな、ってことで「短歌 若手 いいやつ」から「いいやつ」を抜いて「短歌 若手」で再検索。
二番目に出てきた「これは美人!注目の若手作家・詩人・歌人! - Naverまとめ」を華麗にスルー。どうせ橘上とかいう奴についてアレコレ言うんでしょ。セクハラよね。でもその橘上って奴も「きっかけは顔でもいいです。読んでくれれば」とか言うんでしょ。けなげ。顔だけじゃなく心もキレイだわ、その橘上とか言う人。
今回、短歌評になってるか微妙だね。なってるか以前にやろうとしてるかも疑問だね。でも若手の歌人を読みたいって人がネット検索すると、こうなるってサンプルになったね。え? 真面目な人は検索なんかしないで「新鋭短歌シリーズ」を読むって? 新鋭短歌シリーズ知ってる時点でソレ短歌の人じゃん。真面目な人しか集まらない短歌界でイイのかい? 現代詩はそれでかなりマズイことになってるけど。ってこのテの話題は昔からずっと言われてるだろうけど。
ま、じゃこれじゃ終われないってことで最後に短歌を引用した詩を書いて終わります。
フォーエヴァー短歌。グッバイ短歌。グッドモーニングアメリカ。
※
長歌
鍵穴に満ちているのは月の匂い、わが衣手は露にぬれつつ
マガジンをまるめて歩く袋小路「読む」六点の凹凸が
衣干すてふ銀杏(ぎんなん)ひとつ雨にうたれてひとりかも寝む
われといふ時計は疾うに停止してオルゴール語はきらきらと待つ
真昼間に感電死する工夫あれ 珈琲の湯が沸くまでのねむたい遊び
山川に風のかけたるしがらみはだるいせつないこわいさみしい
日本脱出したし 皇帝ペンギンも夜明け前 見はてぬ夢のさむるなりけり
とにかく煙草ほどのけむりも出ないのだつたキリマンジャロに死すべくもなく
天の原ふりさけ見れば春日なる この谷のPARCO海の手前で瞬いている
誰も守らぬ信号ぐんぐん朝はきてあるいは宇宙船かもしれない。
指先に無機質の塊の如くに並ぶサバンナの便器は氾濫したり
春過ぎて夏来にけらしダマスクス この夏を本一冊も読まず逝かしむ
小倉山峰の紅葉葉心あらば結婚はまだですかなんて聞かないで
花の色はうつりにけりないたづらにあたしはケンカつよいつよい
脇役のようにたたずむ 火星がなつかしいね くわがた
「淋しい」 を指す七通りの言い方を インクが足りないとプリンタが紙の呼吸をやめる
窓ごしに丸井愛子の尻ばかり乗せて皇帝ペンギン飼育係りも
誰にでもさみしいと言ふ癖のあるこの娘は死をすでに覚悟して
昨日といひ今日とくらしてたすけて枝毛姉さんたすけて
執刀の医師の握れるメスの先この子はもう帰って来ない
一瞬を不安よぎれり〈ローニン〉のドアノブ冷えて秋は悲しき
まる焼きの、かんぺきにまでまる焼きのうみがめのような子ら とても元気で良い子です
回る椅子ぽかんと回すははははははははははは母死んだ
死をすでに覚悟して入院したらしきブリキで焼いたカステイラです
母はいまだに母であらうか無量大数の脳が脳呼ぶ
そうですかきれいでしたか息子より私が傷ついてます
ひら仮名は凄(すさま)じきかな 「なぜにおまへは生きてゐるのだ?」
いい日だぜ象のうんこよ聞いてくれ風よりほかにとふ人もなし
さみしさのそのゆくすゑをゑゑゑゑゑゑゑゑゑひどい戦争だった
少女死するまで砕けてもぼくの体がわかるならをとめの姿初めての
WWWのかなた白きをみればカーテンが「し」の字になつたと人はいふなり
鈴木加成太、穂村弘、塚本邦雄、福島泰樹、大島史洋、加藤治郎、仙波龍英、杉本潤子、苅谷君代、工藤吉生、矢澤麻子、石井久美子、 花 凜、毛利さち子、宮地しもん、坂井修一、東直子、加藤久美子、雪舟えま、飯田有子、小野小町、春道列樹、壬生忠岑、天智天皇、持統天皇、安倍仲麿、僧正遍照、猿丸大夫、よみ人しらず各氏の短歌からの引用のみで構成。(すべて引用のため文字色は変えていません)
困った。ネタが尽きた。いや、日々短歌は作られその中で秀作・傑作は生まれているのだから、その言い方は正しくない。正確には、ネタはたくさんある。しかしぼくはほとんど知らないということだろう。ダメじゃないか。けれども僕も三十過ぎ。ダメなものをダメなまま放置するほどダメじゃないんだな。ダメはダメとして受け止め前向きに「短歌 若手 いいやつ」でグーグル検索。すると「1971年生まれ以降の若手歌人を語る」というスレッドが一番最初に出てきた。ネタに困ったらネット検索? ダメじゃないか。見つかったのが2ちゃんねる? ダメじゃないか。いや、去年ポエトリー・スラム(ニュアンス変わるけどべつに朗読会でもいい)に出演しまして、そこで、2ちゃんねる出身で雑誌の新人賞を取った詩人の方にお会いしましてね、ああ、2ちゃんねるから発掘される人材もいるんだな、と思いましてね、ええ。今まで避けてきた2ちゃんねるだけど、もしかしたら、見落としがあったかもしれないと考える次第で。まぁ今回2ちゃんねるに当たったのはたまたまですけどね。
で、「1971年生まれ以降の若手歌人を語る」を覗くと、まず「大阪万博以後に生まれた戦後の臭いすら知らない この世代の歌人について気軽にお話しましょう。」とある。そうか。1971年生まれは大阪万博以後で、戦後の臭いすらしらないのか。勉強になるなぁ。そのまま読み進めると「斉藤斎藤、笹公人、黒瀬珂瀾、石川美南、小島なお、玲はる名、今橋愛」各氏の名前が挙がる。イベントでお会いしたり、どこかで名前を聞いたりで歌集を既に読んだことある人がほとんどだ。若手っていうか、全員先輩だしなー。だってこのスレッド2006年のヤツだもんなー。なんかミクシーの話題ばっかだし。っていうか「1971年以降」の段階で気付けよって話だよなー。その後は「馬鹿」「お前が馬鹿」「そもそも2ちゃんねるに来る歌人は馬鹿」などとお馴染みの展開になってきたので「2ちゃんねるに来る詩人も馬鹿」ということにしてひとまず撤退。「アポロは月面着陸してない」に通じるとっても「東スポ」っぽいフレーズは気になりましたが。
とりあえず、短歌しらない人が「短歌 若手 いいやつ」で検索すると、「斉藤斎藤、笹公人、黒瀬珂瀾、石川美南、小島なお、玲はる名、今橋愛」の1971年以降の人の名前があがり、彼らを若手と思う人が一定数いるかもってことです、歌人の皆さん。
しかし、あれだな、検索の仕方が悪かったのかな、ってことで「短歌 若手 いいやつ」から「いいやつ」を抜いて「短歌 若手」で再検索。
二番目に出てきた「これは美人!注目の若手作家・詩人・歌人! - Naverまとめ」を華麗にスルー。どうせ橘上とかいう奴についてアレコレ言うんでしょ。セクハラよね。でもその橘上って奴も「きっかけは顔でもいいです。読んでくれれば」とか言うんでしょ。けなげ。顔だけじゃなく心もキレイだわ、その橘上とか言う人。
今回、短歌評になってるか微妙だね。なってるか以前にやろうとしてるかも疑問だね。でも若手の歌人を読みたいって人がネット検索すると、こうなるってサンプルになったね。え? 真面目な人は検索なんかしないで「新鋭短歌シリーズ」を読むって? 新鋭短歌シリーズ知ってる時点でソレ短歌の人じゃん。真面目な人しか集まらない短歌界でイイのかい? 現代詩はそれでかなりマズイことになってるけど。ってこのテの話題は昔からずっと言われてるだろうけど。
ま、じゃこれじゃ終われないってことで最後に短歌を引用した詩を書いて終わります。
フォーエヴァー短歌。グッバイ短歌。グッドモーニングアメリカ。
※
長歌
鍵穴に満ちているのは月の匂い、わが衣手は露にぬれつつ
マガジンをまるめて歩く袋小路「読む」六点の凹凸が
衣干すてふ銀杏(ぎんなん)ひとつ雨にうたれてひとりかも寝む
われといふ時計は疾うに停止してオルゴール語はきらきらと待つ
真昼間に感電死する工夫あれ 珈琲の湯が沸くまでのねむたい遊び
山川に風のかけたるしがらみはだるいせつないこわいさみしい
日本脱出したし 皇帝ペンギンも夜明け前 見はてぬ夢のさむるなりけり
とにかく煙草ほどのけむりも出ないのだつたキリマンジャロに死すべくもなく
天の原ふりさけ見れば春日なる この谷のPARCO海の手前で瞬いている
誰も守らぬ信号ぐんぐん朝はきてあるいは宇宙船かもしれない。
指先に無機質の塊の如くに並ぶサバンナの便器は氾濫したり
春過ぎて夏来にけらしダマスクス この夏を本一冊も読まず逝かしむ
小倉山峰の紅葉葉心あらば結婚はまだですかなんて聞かないで
花の色はうつりにけりないたづらにあたしはケンカつよいつよい
脇役のようにたたずむ 火星がなつかしいね くわがた
「淋しい」 を指す七通りの言い方を インクが足りないとプリンタが紙の呼吸をやめる
窓ごしに丸井愛子の尻ばかり乗せて皇帝ペンギン飼育係りも
誰にでもさみしいと言ふ癖のあるこの娘は死をすでに覚悟して
昨日といひ今日とくらしてたすけて枝毛姉さんたすけて
執刀の医師の握れるメスの先この子はもう帰って来ない
一瞬を不安よぎれり〈ローニン〉のドアノブ冷えて秋は悲しき
まる焼きの、かんぺきにまでまる焼きのうみがめのような子ら とても元気で良い子です
回る椅子ぽかんと回すははははははははははは母死んだ
死をすでに覚悟して入院したらしきブリキで焼いたカステイラです
母はいまだに母であらうか無量大数の脳が脳呼ぶ
そうですかきれいでしたか息子より私が傷ついてます
ひら仮名は凄(すさま)じきかな 「なぜにおまへは生きてゐるのだ?」
いい日だぜ象のうんこよ聞いてくれ風よりほかにとふ人もなし
さみしさのそのゆくすゑをゑゑゑゑゑゑゑゑゑひどい戦争だった
少女死するまで砕けてもぼくの体がわかるならをとめの姿初めての
WWWのかなた白きをみればカーテンが「し」の字になつたと人はいふなり
鈴木加成太、穂村弘、塚本邦雄、福島泰樹、大島史洋、加藤治郎、仙波龍英、杉本潤子、苅谷君代、工藤吉生、矢澤麻子、石井久美子、 花 凜、毛利さち子、宮地しもん、坂井修一、東直子、加藤久美子、雪舟えま、飯田有子、小野小町、春道列樹、壬生忠岑、天智天皇、持統天皇、安倍仲麿、僧正遍照、猿丸大夫、よみ人しらず各氏の短歌からの引用のみで構成。(すべて引用のため文字色は変えていません)