短歌時評178回 「悲しい」歌 竹内 亮
短歌を始めた頃、歌が「説明的にならないように」と言われました。このことにはいろいろな要素が含まれているように思いますが、初めにそれを整理することを試みます。...
View Article短歌時評178回 「いい歌」の基準は自分で作れ 桑原 憂太郎
角川「短歌」8月号の座談会「流行る歌、残る歌」は、いい企画だった。 大辻隆弘、俵万智、斉藤斎藤、北山あさひの4氏に、今後残るであろう作品を10首あげてもらい、それぞれ残る理由を述べていく、というものであった。 4氏の「残る歌の条件」と、選んだ作品をごく簡単にまとめると……。...
View Article短歌時評181回 若い人の歌 竹内 亮
この夏、明治時代に作られた民法についての本を読んでいた。明治時代に既にいまと同じ議論が多くされているのを知ったのだけれど、驚いたのは、梅謙次郎という作成者の1人が、1000条以上もある民法を精緻な議論を経て何年かで書き上げて、50歳で亡くなっていることである。知識としては聞いたことがあったけれど、その中身を見て、自分と比べるとき、驚かずにはいられなかった。...
View Article短歌時評182回 あるべき批評の役割とは 桑原 憂太郎
今回は、二つの話題から、短歌文芸のあるべき批評の役割というのを考えてみたい。 一つ目。 枡野浩一の全短歌集『毎日のように手紙はくるけれどあなた以外の人からである』(左右社)が刊行された。この刊行にあわせて「短歌研究」11月号は、「25年目の枡野浩一論」という小特集を組んでいる。...
View Article短歌評 後ろ戸を閉じるための祝詞 若林 哲哉
※注意 この記事は、新海誠監督の映画「すずめの戸締まり」のストーリーに関する言及を多く含みます。まだ映画をご覧になっていない方は、ご注意ください。 東日本大震災から4ヶ月弱、詩客・短歌時評に次の記事が投稿された。 生沼義朗「震災と祝詞とホームレス歌人」http://shiika.sakura.ne.jp/jihyo/jihyo_tanka/2011-07-08-1731.html...
View Article短歌時評184回 新しくない部分を指摘することの意味 竹内 亮
歌会では、ある歌のこの点に独自性があるというところが注目されるように思う。短歌としての価値がほかの歌と違うところにあるからであると思う。 しかし、ある歌のこの点は既存の歌と共通しているという指摘にも興味を惹かれる。ある歌のここまでがほかと同じで、ここが違うところだというような言い方についてである。そこには二つの効用がある。...
View Article短歌時評185回 「短歌ブーム」の短歌って 桑原 憂太郎
世の中は「短歌ブーム」なのだそうだ。 NHKの朝ドラでも短歌が話題になっていたらしいし(勤め人の私は一度も見れなかったけど)、そのうち、それこそテレビで、「プレバト‼」のような、タレントが短歌を詠んで歌人に査定される番組がうまれたり、短歌甲子園が特番で放映されたりするようになるかもしれない。...
View Article短歌時評187回 社会の仕組みの短歌 竹内 亮
4月に「さまよえる歌人の会」という短歌の勉強会で平出奔『了解』について報告した。その中で平出さんの「社会詠」に注目した。 社会の仕組みや制度を詠う歌をつくることをわたしは難しいと思っていて、それは、社会の仕組みや制度は多くの人にとって共通に適用されるものであるせいだと思っている。...
View Article短歌時評188回 歌壇のシステムはそう簡単には変わらない 桑原 憂太郎
「本の雑誌」4月号は、<短歌の春>という特集を組んだ。 表紙には、<百年で一番の「短歌の春」がやってくる!」>なんていう惹句もあって、何というか微笑ましい。 果たして、皆さんのまわりには今年、百年で一番の<短歌の春>はやってきたか? なんていう話題はさておくとして、その特集では、木下龍也、東直子、穂村弘の三氏による座談会が組まれている。そのなかの、穂村の次の発言に注目した。...
View Article短歌評 個人的なことから 横井 来季
最近、「短歌ブーム」が来ているらしい。その熱気に動かされ、短歌ブームや純粋読者について、雑誌・ネット問わず、記事が大量に書かれている。 個人的に、そうした記事に接し、私が気になることは、「全く短歌を知らない読者が、どうして歌集を手に取ろうと思うのか」ということだ。この疑問は、歌人が頭の中だけで考えていても解決しない。...
View Article短歌時評190回 Zoomと朗読 竹内 亮
オンライン会議を使うことが増えた。歌会や短歌講座や同人誌の準備会議は半分以上オンラインでやっている。ZoomかGoogle Meetというソフトウエアを使うことが多いけれど、ほかにもいくつかソフトがあってそれぞれ設定の仕方がすこしずつ違う。...
View Article短歌評 教えてほしい、MISOHITOMOJIの底力(前編)――『胎動短歌』(Collective vol.3)の挑戦 添田 馨
みんな勝負してるな、というのが率直な印象である。それにしても、みんなは何と格闘し、そして何と勝負しているのだろう。...
View Article短歌時評191回 寺山修司没後40年によせて 桑原 憂太郎
今年は、寺山修司の没後40年のメモリアルイヤーだった。 短歌総合誌では「現代短歌」が2023年9月号で寺山修司の特集を組んだ。寺山に関する評論やエッセイや対談が掲載されていたけど、そこでの話題は、短歌だけではなく、俳句や演劇にも伸びていた。 なかでも、今野寿美と佐藤文香の対談は、歌人と俳人によるものであり、寺山の歌人としてだけの特集にするつもりはない、という編集側の意図が汲み取れた。...
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